gabbeh

イランをはじめとする中央アジアの遊牧民が作った手織りの絨毯がギャッベ/gabbeh(ギャベともいいます)です。伝統的なペルシャ絨毯がその繊細な美しさを誇っているのに対して、ギャッベは分厚く、素朴な民族柄が特徴という正反対の絨毯です。昔はその大まかさから、海外でも全く見向きもされなかったギャッベですが、最近のエコ指向の高まりや民族的な素朴な文様が再認識されて人気が高まっています。

ギャッベ/gabbehは遊牧民の素朴な風合いが魅力的

自家用の敷物として、女性たちが楽しく模様を描いていくギャッベの魅力は、一点物としての魅力とその素朴な風合いです。ギャッベは羊の毛と天然染料を使って作られていますので、赤ちゃんやペットたちが絨毯を舐めてしまったりほっぺたを摺り寄せたりしても安心。またナチュラルな色合いは和の雰囲気にもモダンな雰囲気にもナチュラルな雰囲気にもピタリとマッチします。ギャッベは厚みと密度がある羊の毛で織られた手織りの絨毯ですから、級保湿性にも優れ、夏はさらっとひんやりとして、冬は暖かく1年を通じて心地よくお使いいただけます。何か月も長い時間かけられてやっと出来上がる手織りのギャッベ、織手の苦労や思いを受け取って使い捨てでなく長く使いたい敷物ですね。

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キリムとギャッベの違い

ギャッベもキリムもイラン・トルコ・中央アジア地域を中心とした遊牧民族による手織りのペルシャ絨毯ですが基本的にキリムとギャッベでは製造方法が異なります。キリムは縦糸と横糸とで折りこまれるウールの平織物で、トルコ語でウールの平織物の事をキリムという事から世界的にキリムと言う呼び名が広がりました。ちなみにイランの平織のキリムの事は「ゲリム」と呼びます。一方ギャッベは平織物にパイルを1段1段編み込んだパイル織でパイルを折りこむことでビロードのような厚みのある絨毯になります。

イランの部族織物

トルコのキリムは古くから工業化され世界中に輸出されていましたからデザインがパターン化大衆化してきましたが、イランには輸出の大物としてペルシャ絨毯がありましたから、イランの部族物の「キリム」や「ギャッベ」は最近まで自家用として商品化されることなく、純粋に部族のアイデンティティを伝える個性豊かな文様として伝わって行きました。その中でもゲルムの文様は保守的な度合いが高いですが、ギャッベは普段使いの敷物として型紙も無く自由に絵をかくように模様をレイアウトすることが出来ましたから、決まった文様が楽しく展開されて行きました。

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最初は砂まみれの素朴なギャッベ。

ギャッベはダイアモンドと似ています。地底の鉱脈の中、プロでなければダイアモンドだと解らない原石を探し出しそれを磨き上げることによって素晴らしい宝石に造り替えていくのです。織り上がった直後のギャッベを現地で見てみますと、砂漠の遊牧民であるカシュガイ族が作ったギャッベは砂にまみれ、むだ毛に覆われて、絵柄もぼんやりとした印象でギャッベ(garbage=ゴミ)の名の通りゴミのようです。

私たちがふだん見慣れたギャッベの面影をそこに見いだすことは難しく、むしろ、裏返して見た方が文様が分かるくらいです。このギャッベはまず直径5mぐらいある巨大な回転ドラムで砂や土ぼこりを落としていきます。さらに回転ドラムが終わったらギャッベは、裏側が全面真っ黒になるまで大型バナーで焼き焦がされむだ毛を焼き切ります。みっちりと織り込まれたギャッベはこんな手荒な扱いを受けてもへっちゃらなのです。