ペルシャンセレクト

東京のペルシャ絨毯専門店にお話を伺いました。社長様はイランの方で日本とイランを何度も往復されているそうです。

Q:ペルシャ絨毯のお店のご苦労等はありますか?

A:苦労っていうことではないんですが、まあ場所にってお店の開き方とか変わってくるとは思うんですが、私だけじゃなくてペルシャ絨毯業界の仲間のお話とか聞きますと、一昔前と比べてうまく行かなくなって来ているというか、お客様が昔ほどお金を使わなくなって来ているというお話は良く聞きますね。この業界だけじゃないと思いますが、そういう意味では厳しくなってきているという印象はありますね。

Q:ペルシャ絨毯はどこから買い付けてくるのですか?

A:ほとんどがイランのテヘランにあるペルシャ絨毯のバザーで一枚一枚、絨毯を選んで買い付けてきます。なんでも良い訳ではなくて日本向けの物を選んで買い付けしています。

ペルシャ絨毯の買い付け

Q:日本人の絨毯の好みとかはありますか?

A:日本人は絹(シルク)の絨毯が好きなので、出来るだけ日本人の好みを考えて選んでいます。もちろんウールの絨毯も人気なんですが、日本の方はベージュとか薄い緑とか割と落ち着いた感じの色合いが好きなのでそういう部分も取り入れて選びます。遊牧民系の絨毯もありますが、5.6年前までは日本ではあまり人気がありませんでした。ほとんどがヨーロッパの方に輸出していたんですが、最近は日本の景気が悪くなってきて絨毯も販売単価が落ちて来ていまして、シルクよりもウールの絨毯が売れるようになってきました。やっぱり値段が安いんですよ。シルクは高級な物は値段が高いのでなかなか売れなくなってきています。

ペルシャ絨毯

Q:ペルシャ絨毯が売れる時期ってやはり寒い時期限定ですか?

A:まあ、寒い時期の方が売れますが、一番売れるのは11月から5月がメインです。暑い時期もシルクの絨毯は人気があります。シルクは触ってもらうとわかりますが涼しい感触があるので売れますね。逆に寒い時期はウールの絨毯がおすすめです

Q:最近の中国製や機械織りの安い「ペルシャ絨毯」についてはどう思われますか?

A:柄としてはペルシャ柄なんですが、中国で生産された物ですね。手織りの物もありますが、偽物とは思いませんがやはりイランで織ってないのと「結び方」が気になりますね。「ペルシャ結び」や「トルコ結び」と呼ばれる結び方があるのですが、中国で作られた柄だけ似ている安い絨毯があります。あと素材も違いますね。プロが見ればすぐわかるんですが、なかなか一般の素人の方が見分けるのは難しいと思います。
手織りと機械織りのペルシャ絨毯も見分けるのは難しいと思います。特に初めてペルシャ絨毯をお買い求めのお客様に区別するのはほとんど無理だと思います。そういうお客様は機械織りのペルシャ絨毯の値段を見て、なんでこのペルシャ絨毯はこんなに安いのかと思う訳です。逆に手織りのペルシャ絨毯は大変な手間をかけて時間もかけて織っていますので当然値段も高くなってしまう。そういう「手織り」の部分に価値を見いだして頂けないと安い機械織りの方を購入されてしまうわけです。

Q:最近人気の民族系「キリム」や「ギャッベ」についてはどうですか?

A:数年前はそうでもなかったんですが、やはり最近は不景気のせいもあるかもしれません。高級のシルクの絨毯があまり売れなくなってきた代わりにキリムやギャッベのような安い価格の絨毯が売れるようになってきました。昔はほとんどアメリカとかヨーロッパにしか輸出していなかったんですが、今は日本でも人気があります。柄も自然をモチーフにしたエコな柄が多いので日本人の好みが合って来たのかもしれません。

キリム、ギャッベ

Q:ところで話は変わりますが、イランではペルシャ絨毯はどの程度生活に根付いているのでしょうか?

A:日本人は畳の上で生活していますよね。私たちイラン人はペルシャ絨毯の上で生まれて、死ぬときもペルシャ絨毯の上で死ぬんです。例えば、結婚して新しい家に入る時は、まずペルシャ絨毯を購入するんです。絨毯がなければその家に住めないくらいなんです。そのくらいペルシャ絨毯とのつながりは深いんです。

Q:たとえば一枚ペルシャ絨毯を買ったらどの位使うものなんですか?

A:まあ、そのペルシャ絨毯にもよりますが、代々に渡って使える絨毯もあります。例えば母親が買った絨毯を娘に譲ったりとかはありますね。しっかりとして手織りのペルシャ絨毯なら、何百年というのはわかりませんが、何十年なら間違いなく使っていけますね。有名な美術館等で何百年前のペルシャ絨毯を見る事ができます。

Q:ペルシャ絨毯の手織りと機械織りについてなんですが、寿命の差ってあるんでしょうか?

A:手織りと機械織りの絨毯はまったく違うものです。機械織りは針を入れて糸を裏で結んでいないんですよ。裏で糊で止めているんです。つまり手で引っ張ると抜けてしまいます。逆に手織りの場合は縦糸が2本あって、1本ずつそれを結んでいくんですよ。さらにそれを横糸で固定するわけです。これは機械では出来ない手織りならではの結び方なんです。機械織りは一日に何十枚でも作れますが、手織りは一枚作るのに何ヶ月もかかっているわけです。大きいものになると何年もかかるものもあります。手織りは時間をかけて作っていますが、そのかわり何十年も使う事ができます。

手織りペルシャ絨毯

機械織りはある意味で使い捨て。痛んだら捨てる絨毯なんですよ。クリーニングもできないし、修理ができません。まあドライクリーニングは可能ですけど、水洗いは出来ません。その点手織りのペルシャ絨毯の場合は、クリーニングも修理も可能なんです。例えばどこかが破れても直して使うことが出来ます。汚れた場合は水洗いで奇麗になります。そういう意味で長く使えるのが手織りのペルシャ絨毯の良さなんです。

本日はありがとうございました。

WEB申込限定 ペルシャ絨毯 特別販売会