中国緞通の華、カービングって何?

中国緞通

手織り絨毯にはペルシャ絨毯やトルコのアナトリア絨毯、パキスタンやインドで作られるムガール絨毯、中国緞通などがありますが、製品に陰影を生むカービングと呼ばれる浮き彫りの技法が有るのは中国緞通だけです。カービング加工は中国緞通の製作で織り上がった最終工程で加工されます。電動ハサミによって柄の境目に精密に極細の溝を彫り込みます。それにより紋様が浮き彫りにされ図柄が一層ハッキリと立体的に表れ、柄のコントラストも鮮明に仕上げられます。中国緞通独特の厚みとボリュームがあるからこそカービング加工が可能なのですね。このカービング加工はハサミの角度で絨毯を痛めてしまう可能性があるので、熟練の技術を要するもっとも高度な技術が必要とされる作業でもあります。ちなみに3帖の絨毯の彫り込みに、12日ほどかかります。最近ではカービング機械を使って仕上げたものもあります。

ケミカルウォッシュ加工とぼかし

中国緞通のうちウール製の緞通はシルクの様な独特の光沢を出す為にケミカルウォッシュ加工で処理しています。まずアルカリ性の薬剤を表面のパイル部分に塗ります。次にブラシでこすり、酸で中和し水洗乾燥します。染料はこの化学処理に耐えるものを選択する必要があります。染料も中国緞通には独特のぼかしが入りますから、染料の色味のグラデーションが多数必要になって来ます。その“ぼかし”の加減をペルシャ絨毯のような繰り返し模様では無く絵画的に盛り込んでいくかは、デザイナーの力量が問われるところです。また上質な緞通は過酷な仕様にも長く色あせしないで美しく保てる堅牢染めの染料が使われています。こうして出来上がった中国緞通は柔らかな優しい雰囲気になります。

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